かごしま子ども夢大学

2014 総括リポート vol.4

〝働く喜び〟を伝えるキャリア教育

学校・企業の密な連携が鍵に

 

小学校教諭の兒玉拓世さん。〝働くのはお金のため?〟というテーマで議論した子どもたちの意見を受け、自身の〝働きマン〟としての思いも語りました

小学校教諭の兒玉拓世さん。〝働くのはお金のため?〟というテーマで議論した子どもたちの意見を受け、自身の〝働きマン〟としての思いも語りました

 県内の小学5・6年生40人が働く意味を学んだ「かごしま子ども夢大学」。総括リポート最終回となる今回は、講師として携わった、鹿児島市立八幡小学校の教諭・兒玉拓世さんに、現代社会に求められるキャリア教育の展望を聞きました。

 

 「小学校高学年の子どもたちは、ふとしたきっかけで、何らかの職業に対する憧れを持つものです。一方、講座で大切に伝えようと思ったのが、職業観よりも勤労観。特定の職業について知るだけでなく、どんな仕事にも共通する〝働く喜び〟を子どもたちと考えてみたいと思いました」

 小学校教諭の兒玉さんが担当したのは「〝働きマン〟の心意気を集め、たばねよう」と題した講座。さまざまな職業人が紹介されている文章を読み解き〝何のために働いているのか〟を探ります。子どもたちは、グループディスカッションを通し、収入だけが仕事の目的ではなく、〝人の笑顔のため〟〝自分自身の成長のため〟〝その職業の存続・発展のため〟など、仕事に伴うやりがいと喜びを導き出しました。

 

さまざまな夢を持った子どもたちとの出会いも刺激に

さまざまな夢を持った子どもたちとの出会いも刺激に

■大人が手を取り合って

 「今、企業・産業界によるキャリア教育の充実ぶりには、目を見張るものがあります」と兒玉さん。実際に「かごしま子ども夢大学」に携わり、改めて公教育と企業・産業界、両者の密な連携の必要性に注目しています。

 「その道のプロである企業が〝本物〟にこだわったキャリア教育を進め、私たち教員が、そこに参加する子どもの力を引き出す役を担うなど、お互いが特性を生かすことで、より豊かな学びが見いだせるはず。また、家庭での語り合いが生まれれば、さらに考えを深めることができると実感しました」

 講師を務めるにあたり、自身も教員としての喜びや16年続けてきた原動力について見つめ直したそう。「仕事や役割を持って生きる楽しみを伝えられる大人でいたい。大人が手を取り合い、子どもたちが〝夢のある将来〟を描けるキャリア教育を目指したいですね」